本当は怖いんだって、知覚過敏は

「ためしてガッテン」で紹介された「本当は怖い!知覚過敏」を見た歯医者さんたちの意見が分かれています。

2010年9月22日放送の「ためしてガッテン」(NHK)で、「歯がしみる、割れる 本当は怖い!知覚過敏」というテーマで、「知覚過敏の原因その2・くさび状欠損」という興味深い内容が放送されていました。番組では、歯の根元がえぐれてしまう「くさび状欠損」(WSD:Wedge-shaped defect)の原因を、歯のくいしばりによって歯の根元に「ひずみ」が生じ、エナメル小柱という歯のカルシウムの結晶にキズができるためと説明しています。

この説明自体は既に歯科医師の間では常識となっていますが、15年ほど前までは「くさび状欠損の原因は歯磨きのし過ぎ」が原因と考えられていたため、一部の歯科医師の間では、番組で言われている「歯ブラシのし過ぎではなく、キズによって起きるという見解には何か作為的なものを感じる」という意見が出ているそうです。

一方では、「抜けた歯に歯磨き粉を塗りながら何十万回も歯ブラシを行う実験を行っても、くさび状欠損は発生しなかった」という意見もあり、まだ諸説が入り乱れているようです。

ではインターネット上の見解はどうなっているか、いつものように調べてみます。

まずは定番のウィキペディアで「くさび状欠損」を調べてみると、残念ながら「このウィキでページ「くさび状欠損」を新規作成する」という結果で、まだ情報がありませんでした。こういう場合は、ちょっと手の込んで検索方法になりますが、YahooGoogleで「楔状欠損 原因 site:ac.jp」という方法で検索を行います。この「site:ac.jp」というのは、大学の公式ホームページだけを検索する方法ですが、結果的にはネット上の情報を見る限り、「原因が歯ブラシによる」という報告は殆どなく、「楔状欠損の原因はくいしばり」に軍配があがったようです。

さらに番組では、「歯に力がかかる人、スポーツ選手、歯ぎしりをする人」などは要注意で、「気付かないでいると歯が割れたりひびが入る危険性もある」と指摘しています。実際、私の友人はゴルフで二回も大臼歯を割っていますし、虫歯がなくてもヒビが原因で歯がしみることは良くあります。

これも歯科医師の間では常識となっていますが、実はなかなか患者さんへの説明が難しく、こういう番組で取り上げてもらえると実に説明が楽になります。いっそのこと、本当に「歯が割れた」状態であれば説明もいらないのですが、「歯がしみるのは虫歯」と思い込んでいる患者さんは多く、「虫歯はないようなので、ヒビが入っているかもしれません」と言っても、なかなか納得しない患者さんがいるのも事実です。

さらに番組では、もっとおもしろい(失礼)ことを言っていました。

「正しい歯みがき」のコツは「食後すぐに歯をみがかない」こと、だそうです。

「えっ」と思われた方、多いですよね。では次回はこの「歯磨きの常識と非常識」についてご説明いたします。

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